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【窓ぎわのトットちゃん】僕も、ほんとうはいい子なんだよ。 [小説]

文庫本の夏がやってきました!
本屋さんには今多くの文庫本が特集コーナーで平積みされています。新潮文庫の100冊、集英社文庫のナツイチ、角川文庫のカドフェス。
いつか読もうと思っていたけど忙しくて忘れていた本、ひとめぼれしてしまった本、いろんな本との出会いがそこにはあります。普段小説なんて読まないって人こそ、この時期は本屋さんをぶら~って訪れてみて欲しいですね。
そんなわけで夏は少し小説の記事が多くなるかもです。

18回目の記事は黒柳徹子さん著の「窓ぎわのトットちゃん」について。
・「窓ぎわのトットちゃん」 1981年3月6日発売 【小説】

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はい、そうです。トットてれびに影響されて読んでしまいました、「窓ぎわのトットちゃん」。
朝の通勤電車で青い鳥文庫を読みながら半泣きになっているのは、はい、そうです、私です。

世界35カ国で翻訳された、日本で歴代1番売れた本、それが窓ぎわのトットちゃんです。
http://omoshirodougagazou.com/?p=1173
ちなみにこの本の印税はすべて「トット基金」に使われ、障害を持つ子供たちのために使われています。
黒柳さんはユニセフ親善大使としての方が有名ですが、そちらでは合計50億円を超える募金が日本から世界中の子供たちに届けられています。
結論としては、この本を買えば戦後最大のベストセラーと呼ばれるお話を読めるだけでなく、募金にもなりますから是非みなさんも買って読んでみて下さいということです。

いつも前置きが長くなってしまいますが、そろそろ本の中身の話を。
この物語は小学一年生のトットちゃん(黒柳さんの愛称)が小学校を問題児として退学になり、あらゆるハンデを持っていたりする子供たちが集まる「トモエ学園」に編入するところから始まります。
物語というより、実は黒柳さんの口調で語られていく自伝エッセイです。でもこの本は小説の一種みたいな雰囲気を持っていると思います。

さて、そのトモエには小林先生という校長先生がいます。
校長先生は初対面のトットちゃんに「話したいことを全部話してごらん」と言います。
小学1年生の拙い話をたっぷり4時間聞いてもらった後、「じゃ、これで、君は、この学校の生徒だよ」とトットちゃんは言われ、楽しい学園生活が始まります。
使わなくなった電車の中で行われる授業は、時間割などなく、好きなことを勉強していいのです。全学年で50人ぐらいの小さな学校だからこそ、わからないことは先生にすぐに聞けます。
受動的にたくさん詰め込むのではなくて、能動的に自分の興味の持ったことを深堀していく。最近話題の「ゆとりですがなにか」でも取り上げられる、これぞまさにゆとり教育という毎日が過ぎていきます。

枠に収まる中で成長することも競争しながら成長することもとても大切だと思います。でも自信を失ってしまうことが子供にとっては一番良くないことだとも思います。
トットちゃんのお母さんはトットちゃんに退学になったことを大人になるまで言いませんでした。自分の興味にまっすぐで、授業やクラスという枠組みに収まらないトットちゃんを劣等生と決めつけることなく、彼女の良さを生かせる場所を探してトモエ学園に辿り着くのです。
校長先生はよくトットちゃんに「君は、ほんとうはいい子なんだよ。」と言っていて、きっとそこには多くの意図があったのだとトットちゃんは大人になってから気づきました。
黒柳さんはあとがきでこう書いています。
「この言葉が、どんなに、私の、これまでを支えてくれたか、計りしれません。もし、トモエに入ることがなく、小林先生にも会わなかったら、私は、おそらく、なにをしても「悪い子」というレッテルをはられ、コンプレックスにとらわれ、どうしていいかわからないままの、大人になっていた、と思います。」
昔、どこかで聞いたことがあります。「大人にとってのいい子はろくな人間にならない。」
大人になった私たちが、自分たちの都合や枠を子供に押し付けて、レッテルをはってカテゴライズして、未来の可能性を摘んでいくようなことだけはこの先絶対にしたくないなと思いました。

社会人になってから、池上彰の本とかアドラー心理学の本とかお金の運用の本とか情報技術の本とか実用書ばかり読んできましたけど、夏はガラッと変えて小説に浸りながら多くのことを考えたり感じたりしたいと思っています。
大人になってから青い鳥文庫を読んで、こんなに多くの発見があることはとても幸せなことだなと。
そんなかんじで、それではまた来週。
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